第七回シンポジウムの報告および報告要旨

去る9月17日(土)に早稲田大学において当研究所の第七回シンポジウムが開催されました。
文部科学省の私立大学戦略的研究基盤形成支援事業との共催でした。

全体のテーマ:「中世・ルネサンス期のイタリア政治思想への新しい視角」
New Perspectives on the Political Thought of Medieval and Renaissance Italy

プログラムおよび報告要旨は以下の通りです。

司会・趣旨説明 甚野尚志(早稲田大学)



報告(1)
テオドロ・カティニス(Prof. Dr.Teodoro Katinis,ヴェネツィア大学、現ゲント大学)報告要旨
“Platonism and Its Enemies in the Political Philosophy of the Italian Renaissance”

報告(2)
石黒盛久(金沢大学)報告要旨
“From Machiavelli to Botero― La ragion di Stato(1589) and Principal Characters of Italian Political Philosophy in the late 16th Century”

コメント(1)根占献一(学習院女子大学)
コメント(2)皆川卓(山梨大学)

報告(1)
カティニス氏はイタリア・ルネサンス期の政治哲学における新プラトン主義の役割に関し、マルシリオ・フィチーノ(1433-99)のプラトンの対話に関する翻訳・註釈作品の政治的な側面に着目された。とりわけ、古代よりプラトン主義と対立関係にありながらも研究のなされていないソフィストらが再度取り上げられている点を中心に分析された。さらに、同氏は人文主義者スペローネ・スペローニ(1500-88)の3点の作品に見られるソフィスト的な修辞法を再評価し、ソフィストらが都市の利益と市民生活や政治おいて良い修辞学者とみなされていたとする。同氏は、政治哲学の歴史におけるプラトン主義とソフィストとの絶え間ない抗争、それゆえに分かち難く結びついた両者の関係に新たな光を投じたといえる。


報告(2)
石黒氏はボテーロの「国家理性」観をマキアヴェッリのそれと比較した。マキアヴェッリは無秩序から秩序を打ち立てる君主の「力量」に着目し、このような無秩序を通常の状態とみなして、「用意周到」であること以上に「果断」であることを強調した。これに対してボテーロは、世襲君主が無秩序に対して対抗しうる方法に着目した。ボテーロはマキアヴェッリの「狡知」をめぐる思想を批判し、逆に、「思慮」と「誠実」を利益追求における法―倫理的限度とみなした。発表者の結論によれば、ボテーロの「国家理性」は、主権国家の確立に専心したハプスブルクのヘゲモニーの外にある諸国家おいてよりもむしろ、イタリアの中規模国家においてこそ受け入れられたのだった。



その後、根占献一氏と皆川卓氏によりコメントをいただき、参加者からの質疑応答を交えたディスカッションとなりました。
盛況であり、また活発な質疑応答がなされたことも記して感謝申し上げます。
お運びくださった皆様、ありがとうございました。

(文責:毛塚 鈴木)


The report of the Seventh Symposium of the Institute for European Medieval and Renaissance Studies (IEMRS)
The Seventh Symposium of IEMRS was held on September 17, 2016, at Waseda University.
It was co-hosted by "MEXT-Supported Program for the Strategic Research Foundation at Private Universities"of Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology.

The main theme was:New Perspectives on the Political Thought of Medieval and Renaissance Italy

We had two guest's presentation and two commemtators.
The program was as follows:
Opening Address:
Prof. Jinno Tadashi (Waseda University, the president of IEMRS,the chairman)

Research Report1:
Prof. Dr. Teodoro Katinis (Ghent University)summary
“Platonism and Its Enemies in the Political Philosophy of the Italian Renaissance”

Research Report2:
Prof. Morihisa Ishiguro (Kanazawa University)summary
“From Machiavelli to Botero― La ragion di Stato(1589) and Principal Characters of Italian Political Philosophy in the late 16th Century”

Commentators:
Prof. Keninchi Nejime (Gakushuin Women's College)
Prof. Taku Minagawa (Yamanashi University)

Discussion


Prof. Dr. Katinis focused on the role of the Platonism in the political philosophy of the Italian Renaissance, especially, the political Platonism of Marsilio Ficino(1433-99) and his works on Plato’s dialogues, where the rebirth of ancient sophists was found. The sophists were the enemies of Platonism, yet their study has been overlooked. Ficino’s works were to be examined with particular attention to the political aspects. Moreover, the three works of Sperone Speroni(1500-88) were analyzed as a reevaluation of sophistic rhetorics, in which he claimed that sophists served the city’s interests as good rhetoricians in civil and political life. Prof. Dr. Katinis threw the new light on the consistent conflict, therefore inseparably connected relationship, between the Platonism and sophistry in the history of political philosophy.

Prof. Ishiguro compared Botero’s view of “Ragion di Stato” with Machiavelli’s. Machiavelli paid attention to the prince’s “virtù (virtue)” to establish the order from the disorder. He considered such disorder as the normal condition and emphasized the necessity for being more impetuoso (impetuous) than rispettivo (respective or careful). On the other hand, Botero paid attention to the way in which the hereditary monarch could fight against the disorder. He accused Machiavelli’s idea of astuto (cunning). In contrary, he considered prudenza (prudence) and onesto as the legal-ethical limit in case of seeking interests. By the presenter’s conclusion, Botero’s “Ragion di Stato” was accepted in the Italian middle states, rather than in the states outside the Hapsburg hegemony which concentrated on the establishment of the sovereign state.




Before the discussion, we received two valuable comments from Prof.Keninchi Nejime and Prof.Taku Minagawa.

We are grateful that we were able to exchange very productive discussions.
We would like to sincerely thank all of you.



(Mieko Kezuka, Yoshiharu Suzuki)

第二十二回研究会のお知らせ


次回の第二十二回研究会の詳細が決まりましたので、お知らせいたします。
「早稲田大学高等研究所セミナーシリーズ〈新しい世界史像の可能性〉」との共催になります。

日時 2016年11月5日(土)午後2時から5時半
場所 戸山キャンパス33号館16階第10会議室

共通のテーマ「知の集積、発信拠点としての近世スイス」

報告(1)
雪嶋宏一(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)
「書誌学の源泉、コンラート・ゲスナー『万有書誌』」

報告(2)
パトリック・ シュウェマー(上智大学・学振研究員PD)
「ツヴィングリの和訳聖書」

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

**チラシ掲示にご協力くださる方は以下よりダウンロードしてお使いください。
簡易チラシ(A4,PDFファイル)

第二十一回研究会の報告および報告要旨





去る6月25日(土)に早稲田大学において当研究所の第二十一回研究会が開催されました。
「早稲田大学高等研究所セミナーシリーズ〈新しい世界史像の可能性〉」との共催でした。

プログラムおよび報告要旨は以下の通りです。
()内からPDF版の要旨記事にリンクを張っております。

報告(1)
 林賢治(早稲田大学大学院博士課程)報告要旨(PDF版
「12世紀ヒルザウ系修道院の知的ネットワーク―書物の移動、人の移動―」

報告(2)
 影山緑子(早稲田大学大学院博士課程)報告要旨(PDF版
「ユマニストによる権威の再構築―アラン・シャルチエの対比列挙をめぐって―」







林氏は12世紀ドイツのヒルザウ修道院長による慣習律を導入した修道院群における知的状況に関して、多くの史料を交えて詳細に検討された。とりわけ、従来の研究で評価が分かれる蔵書目録に加え、修道院において教育や典礼を司ったアルマリウスによる書簡を取り上げ、書物の貸し出しや人物の派遣などを分析された。その結果、ヒルザウ系修道院の間ではアルマリウスを中心とした人的な関係に基づき知識や書物の認識が共有され、知的なネットワークが形成されていた可能性が指摘された。




影山氏は14世紀末から15世紀前半のパリのユマニスト、アラン・シャルチエの『希望の書』(1430年頃)において、歴史上の哲学者や賢者の名前が頻出する点について詳しく検証された。人物は固有名詞、ときには著作とともに列挙され、「神のごときプラトン」などの形容詞や呼称を伴うなど、周到な権威付けが試みられていた。同氏はそれらの諸相を先行作例と対比させながら、アリストテレス哲学の解釈の緒伝統や、七自由学芸との関係、イタリア・ユマニストの影響など多角的に分析された。

盛況であり、また活発な質疑応答がなされたことも付して感謝申し上げます。
お運びくださった皆様、ありがとうございました。

(文責:毛塚)

第七回シンポジウムのお知らせ

ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所第七回シンポジウムのお知らせをいたします。

日時:2016年9月17日(土)14時~17時
場所:戸山キャンパス33号館3階第一会議室
共催:私立大学戦略的研究基盤形成支援事業
使用言語は英語

全体のテーマ:「中世・ルネサンス期のイタリア政治思想への新しい視角」
New Perspectives on the Political Thought of Medieval and Renaissance Italy

司会・趣旨説明 甚野尚志(早稲田大学)
報告(1)
テオドロ・カティニス(Dr.Teodoro Katinis,ヴェネツィア大学)
“Platonism and Its Enemies in the Political Philosophy of the Italian Renaissance”

報告(2)
石黒盛久(金沢大学)
“From Machiavelli to Botero― La ragion di Stato(1589) and Principal Characters of Italian Political Philosophy in the late 16th Century”

コメント(1)根占献一(学習院女子大学)
コメント(2)皆川卓(山梨大学)


皆様のご参加を心よりお待ちしております。

**チラシ掲示にご協力くださる方は以下よりダウンロードしてお使いください。
簡易チラシ(A4,PDFファイル)

第二十一回研究会のお知らせ

次回の第二十一回研究会の詳細が決まりましたので、お知らせいたします。
「早稲田大学高等研究所セミナーシリーズ〈新しい世界史像の可能性〉」との共催になります。

第二十一回研究会
日時:6月25日(土)14:00-17:30
場所:戸山キャンパス36号館6階682教室

報告(1)
 林賢治(早稲田大学大学院博士課程)
「12世紀ヒルザウ系修道院の知的ネットワーク―書物の移動、人の移動―」

報告(2)
 影山緑子(早稲田大学大学院博士課程)
「ユマニストによる権威の再構築―アラン・シャルチエの対比列挙をめぐって―」

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

**チラシ掲示にご協力くださる方は以下よりダウンロードしてお使いください。
簡易チラシ(A4,PDFファイル)
プロフィール

ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所

Author:ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所
ブログ管理者への連絡は上記のアドレスにお願いします。
当ブログのURLは以下です。
http://iemrs.blog111.fc2.com/
当研究会のホームページURLは以下です。
http://www.waseda.jp/prj-iemrs/

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